戸建て投資の修繕費を内見で見極める|貸し出せるまでにかかる費用の考え方

不動産投資

前回の記事では物件の調査方法として、賃貸需要・人口動態・周辺施設・競合相場の4STEPをお伝えしました。
調査をして「この物件、よさそうだ」と思ったら、次に気になるのが「実際にいくらかかるのか」ではないでしょうか。

不動産投資では物件の購入価格だけでなく、入居者に貸し出せる状態にするまでの修繕費用も重要なコストです。
修繕費がいくらかかるかによって、キャッシュフローが大きく変わります。

今回は内見時に修繕費用をざっくりと見積もるための考え方と、実際に役立つチェックポイントをご紹介します。
一緒に確認していきましょう。

▼ 前回記事「不動産投資の物件調査方法|初心者が最初にやるべき4つのステップ」

1章:家の中に入る前にまず外観・基礎を確認する

内見で室内を確認する前に、まず外から建物の状態をチェックしましょう。
外観や基礎の状態は目視でもある程度確認でき、大きな問題がある場合は室内に入る前に気づけることもあります。

① 基礎のひび割れ(クラック)を確認する

「クラック」とはひび割れのことで、基礎のひび割れをチェックする際に使われる正式な用語です。建物の基礎にクラックが入っていないかを外周を歩きながら目視で確認しましょう。

クラックには大きく2種類あり、危険度が異なります。

種類幅・深さの目安危険度・対応
ヘアークラック幅0.3mm未満深さ4mm未満髪の毛程度の細いひび割れ。数が少なければ基本的に様子見でよい
構造クラック幅0.3mm以上深さ4mm以上建物の耐震性に影響する可能性あり。鉄筋の腐食・雨水侵入のリスクがあるため専門家への相談が必要
💡 補足このクラックの基準(幅0.3mm・深さ4mm)は布基礎・ベタ基礎どちらにも共通して使われている目安です。なおクラックスケールと呼ばれる測定道具はホームセンターで数百円程度で購入できます。
⚠️ 注意点目視での確認はあくまで参考です。
クラックを発見した場合や判断に迷う場合は、必ず同行した業者または専門家(ホームインスペクター等)に確認してもらいましょう。素人判断で「大丈夫」と決めてしまうのは禁物です。

② 外壁の状態を確認する

基礎の確認が終わったら、外壁も目視でチェックします。

  • 外壁が大きく剥がれていないか
  • 外壁にひび割れ(クラック)が入っていないか
  • 塗装が著しく劣化していないか
  • 雨染みや湿気による変色がないか

外壁のクラックも基礎と同様に幅0.3mm以上のものは要注意です。
外壁のひび割れから雨水が侵入すると、内部の木材の腐食やシロアリ被害につながる場合があります。

2章:あれもこれも直さない。修繕の基本的な考え方

修繕で一番やってはいけないのが「せっかくだから全部きれいにしよう」という発想です。
あれもこれも直していたら費用がどんどんふくらみ、キャッシュフローがマイナスになってしまいます。

修繕の基本的な考え方は「入居者が生活できる最低限の状態にすること」です。
築年数が古くても、使えるものはそのまま使う。少しの手直しで使えるものは手直しだけする。
この発想がコストを抑えるうえでとても重要です。

❌ やりがちなNG✅ 正しい考え方
全部きれいに直してから貸す使えるものはそのまま使う
古いからと全て買い替える安価なリフォームで対応できないか考える
業者に全部お任せする必要な箇所だけ業者に見積もりを取る

3章:内見時に確認すべきチェックポイント

内見のときは物件の「使える・使えない」を一つひとつ確認していきます。
あらかじめ間取り図を持参して、各部屋ごとに必要な修繕箇所と大まかな費用感をメモしておくと、後から見積もりを取るときにとても役立ちます。

① キッチン・水回りのチェック

水回りは修繕費が高くなりやすい箇所です。
特にキッチンはそのまま使えるか、少しの手入れで使えるかを確認しましょう。

  • 蛇口から水が正常に出るか・水漏れがないか
  • 排水が詰まっていないか(実際に水を流してみる)
  • シンクや台に大きなサビ・破損がないか
  • コンロの動作確認(ガスか電気かも確認)
  • 扉の開閉がスムーズかどうか
💡 ポイントキッチンは古くても「使える状態」であればそのまま貸し出せる場合があります。
全て交換するとユニットキッチンで30〜60万円かかることもあります。まず使えるかどうかの確認が先決です。

② お風呂・浴室のチェック

お風呂は一見古くて全交換が必要に見えても、クッションフロアを敷いたり、壁にパネルを貼ったりするだけで見違えるようにきれいになる場合があります。
全部買い替える前に安価なリフォームで対応できないかを必ず検討しましょう。

  • 浴槽にひび割れや大きな傷がないか
  • 排水が正常に流れるか
  • カビの程度(軽度であれば清掃で対応可能)
  • 壁・床の状態(パネル貼りやクッションフロアで対応できるか)
  • シャワーの動作確認
💡 ポイントユニットバスの全交換は50〜100万円以上かかる場合があります。
クッションフロアや壁パネルの貼り替えであれば数万円〜で対応できることもあります。

③ トイレのチェック

  • 水が正常に流れるか・水漏れがないか
  • 便器にひび割れがないか
  • ウォシュレットの有無と動作確認
  • 床・壁の汚れの程度
💡 ポイントトイレは比較的交換費用が安く、便器本体+工事費で10〜20万円程度が目安です。
ただしそのまま使えるなら清掃だけで十分です。

④ 床・壁・天井のチェック

床と壁は入居者の印象を大きく左右する箇所です。
費用の目安を頭に入れておくと見積もり取得時に役立ちます。

箇所費用目安備考
クロス張り替え(壁紙)6〜10万円/部屋広さ・状態によって変動
クッションフロア(床)3〜6万円/部屋フローリングより安価
フローリング張り替え10〜20万円/部屋費用が高めになりやすい
天井クロス張り替え3〜5万円/部屋壁と同時施工で割安になることも
畳の表替え・新調1〜3万円/畳状態により表替えか新調か判断
💡 ポイントクロスやクッションフロアは比較的安価にできるリフォームの代表格です。
古い物件でもこれだけで見た目が大きく変わります。全部屋やるのか、傷みの激しい部屋だけやるのかも費用に影響します。

⑤ 建物の傾き・構造のチェック

修繕費以前の問題として、建物の傾きが大きい物件は要注意です。
傾きが大きいと構造上の問題がある可能性があり、修繕費が膨大になることがあります。

  • 内見時に水平器(またはスマホの水平器アプリ)を使って傾きを確認する
  • iPhoneには標準で水平器アプリ(コンパスアプリ内)が搭載されています
  • 水平器は1,000〜2,000円程度で購入できるため内見に持参するとよいです
  • ビー玉を床に置いて転がるかどうかでも大まかな傾きが確認できます
⚠️ 注意点多少の傾きは築年数の古い建物には珍しくありませんが、明らかに傾きが大きい場合は購入を慎重に検討しましょう。構造補強工事は数百万円かかる場合もあります。

4章:業者に見積もりを取るときのポイント

内見でチェックした箇所をもとに、リフォーム業者に見積もりを取ります。
このときに大切なのが「わからない言葉は必ず聞く」という姿勢です。

わからない専門用語は恥ずかしがらずに聞く

リフォームの現場では「下地処理」「コーキング」「レベル」「根太」「束石」など、普段聞き慣れない専門用語が出てきます。
わかったふりをして後から後悔するよりも、その場で「それはどういう意味ですか?」と聞く方が断然よいです。

プロの業者であれば丁寧に説明してくれます。
むしろ「この人はきちんと理解しようとしている」という印象を与え、信頼関係が生まれることもあります。

複数業者から見積もりを取る

修繕費は業者によって大きく異なります。
必ず複数の業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。

  • 最低でも2〜3社から見積もりを取る
  • 同じ条件・範囲で見積もりを依頼する
  • 安すぎる見積もりには手抜き工事のリスクがある場合も
  • 金額だけでなく工期・保証内容も確認する
💡 ポイント不動産会社が懇意にしているリフォーム業者を紹介してもらえる場合があります。
物件を紹介してもらった不動産会社に相談してみるのもよい方法です。

内見時に間取り図を持参して費用をメモする

内見のときに間取り図を印刷して持参し、各部屋ごとに「クロス張り替え必要」「クッションフロア」「水漏れ確認」などのメモを書き込んでおきましょう。

そのメモをもとに業者に見積もりを依頼すると話がスムーズになります。
また後から「どの部屋に何が必要だったか」を確認するときにも役立ちます。

5章:修繕費の全体像をざっくり把握しておく

内見前にある程度の費用感を頭に入れておくと、現地でのチェックがスムーズになります。
以下はあくまで目安ですが、参考にしてみてください。

修繕箇所費用目安備考
クロス張り替え(全室)20〜40万円部屋数・広さによる
クッションフロア(全室)15〜30万円フローリングより安価
キッチン交換30〜60万円使えるならそのままが理想
ユニットバス交換50〜100万円以上パネル貼りで代替できる場合も
トイレ交換10〜20万円清掃のみで対応できる場合も
給湯器交換10〜20万円築古物件では要確認
屋根・外壁塗装50〜150万円状態次第で優先度を判断
シロアリ対策・床下補修10〜50万円築古戸建ては要確認
ハウスクリーニング5〜15万円入居前に必須
⚠️ 注意点上記はあくまで参考目安です。物件の状態・地域・業者によって大きく異なります。必ず複数業者から見積もりを取ることをおすすめします。

まとめ:修繕費を把握してからキャッシュフロー計算へ

今回のポイントをまとめます。

  • あれもこれも直さない。使えるものはそのまま使う
  • 水回りは費用が高くなりやすいため特に念入りにチェック
  • お風呂や床は全交換せずクッションフロアやパネルで安く対応できる場合がある
  • 内見時は間取り図を持参して各部屋の修繕箇所をメモする
  • 水平器(またはスマホアプリ)で建物の傾きを確認する
  • わからない専門用語は恥ずかしがらずにその場で聞く
  • 複数業者から見積もりを取り比較する

修繕費のトータルがわかってはじめて「本当にこの物件は収益が出るのか」というキャッシュフロー計算ができます。
次の記事ではいよいよキャッシュフロー計算の方法について解説する予定です😊

▼ 次回記事予告「戸建て投資のキャッシュフロー計算方法|修繕費込みで本当に儲かるかを検証する」(近日公開予定)
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